第6回企画展示

植物画で見る海藻の多様性

−川嶋昭二先生海藻画展−

2003年7月11日(金)−10月4日(土)
北海道大学総合博物館1F「知の統合」コーナー

海藻画:ナガコノハノリ 海に生えている下等な植物としてひとまとめに捉えられがちな海藻は、じつは緑藻・褐藻・紅藻という、それぞれ色も形も生活様式も異なる3つのグループからなる。我々が通常目にする陸上の植物はすべて、緑藻というたった1グループの子孫に過ぎない。藻類は、植物の進化の謎を解明する鍵となる非常に多様性の高い生物群なのである。

 北海道大学における海藻分類学の研究は、札幌農学校時代から宮部金吾博士らによって行なわれてきた非常に長い歴史を持ち、質・量ともに世界でも屈指の標本コレクションを擁している。しかし海藻の標本は実際に海に生えているときの生き生きとした色や質感が残っていない上、こわれやすく光による退色などの問題もあり、(さらには学内事情により現在は総合博物館に収蔵庫が整備されておらず、世界的に貴重な標本群であるにもかかわらず大半がプレハブ小屋に押し込まれており整理もままならない状況であり、)展示公開を行なうには難点が多い。

 そこで今回、川嶋昭二氏の海藻画作品を通じて、海藻の多様性の一端を表現する企画展示を試みた。海藻画は、博物学の図譜などに伝統的に用いられてきたボタニカルアート(植物画)の技法を使い、実物の海藻を観察しながら忠実に描いた彩色画で、見る者にその特徴を、写真や標本以上に良く伝えてくれる場合さえある。川嶋氏は北大理学部植物学科で海藻分類学を専攻し、大学院終了後は北海道立の水産試験場で長く現場に携わる研究を続け、釧路・函館など各地の試験場長を歴任の後に退職した現在もコンブ類研究の第一人者として活躍している、まさに海藻の姿を知り尽くした人物である。

 会期は2003年7月11日(金)から10月4日(土)(ただし会場の都合により7月14日までは部分公開)、総合博物館「知の統合」コーナーの一角に29点の作品を展示した。期間中の入館者数は16,514人で、前年同時期(11,133人)の約1.5倍となった。日本に現在知られている海藻は約1,400種であり、今回展示された海藻種数は多様性のごく一部をかいま見るに過ぎないものではあったが、それでさえも多様で華麗な色や形の海藻の姿に、来館者の関心は高く好評であった。

 なお、会期の初日には関連企画として第7回公開シンポジウム 極東ロシアと日本の海藻を開催した。


展示会場



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