告知ポスター

第1回企画展示

キャンパス咲く草花

200210日(金)−614日(金)

1F 知の統合コーナー


 広大な北大キャンパスは札幌の都心に近いにもかかわらず,わずかではありますが原生林も残されており,豊かな自然を誇っております。キャンパスのそこかしこには四季折々に多くの花々が咲き乱れています。
 長年にわたりこれら草花を描き続けてきた,増渕法之北大名誉教授の水彩画を中心に,植物画・標本・解説などをつけて,一味違った展示を試みました。


増渕法之名誉教授略歴:
北大理学部生物学科植物学専攻第19期(1950)卒業.
1965年頃から故坂本直行画伯らとともに歩々(ぽっぽ)の会を組織して軽登山・スケッチ活動を続ける.
1985年北大理学部を定年退官.名誉教授.
1986年−1989年 北京大学で日本語教官として日本語を教える.



北大キャンパス植物調査

北大の札幌キャンパス内には自然林(原生林、原始林と呼ばれる)が残され、平地にある日本の大学キャンパスとしては自然度の高い稀有な存在である。学史的に見ても貴重なクロビイタヤやユリノキなどの植栽木があり、また研究用・学生実習用に附属薬用植物園や研究林苗圃、農場がキャンパス内に設置されている。キャンパスの歴史、地形、動植物、建築の総体を「エコキャンパス」として捉え、北海道大学のフレッシュマン教育に積極的に活用する試みも始まっている。

〇北大キャンパスの植物とそれに関連する文献(時代順)
館脇 操. 1927. 北大農場の雑草について(第一報). 札幌農林学会報 19: 162-179.
朝比奈英三. 1984. 北大の自然:樹木めぐり. 楡の風 (14): 6-10.
長谷川哲雄. 1986. 北大構内の植物こよみ. ワイルドライフ・レポート (3): 21-27.
春木雅寛・露崎史朗・滝川貞夫. 1989. 北海道大学構内の樹種構成について. 北海道大学農学部演習林研究報告 46: 191-222.
北海道大学薬学部附属薬用植物園(編). 1990. 植物目録. 附属薬用植物園, 札幌.
原 松次. 1992. 札幌の植物−目録と分布表―. 北海道大学図書刊行会, 札幌.
村松佐知子. 1998. 植物園自然林の現状と今後. 97年度北海道大学農学部生物資源科学科卒業論文.
小野裕子. 2000. 擦文期の北大構内遺跡群. 北大構内の遺跡 11: 62-67.
高橋英樹・露崎史朗・笹賀一郎・東隆行(編). 2002. 北大キャンパス実習用資料集(植物編).

エンレイソウ研究と北大

エンレイソウ属の1種、オオバナノエンレイソウが北大の校章図案になっていることはよく知られている。現在でもキャンパスの原生林周辺に自生しており5月の連休頃に大型の白い花を楽しむことができる。北大における日本産エンレイソウ属研究の始まりは昭和5年にさかのぼる。後藤一雄(台北帝大理農学部)と須藤勇(北海道帝大農学部)の共著で「エンレイソウ属及びツクバネソウ属植物の核学的研究(予報)」が遺伝学雑誌第5巻(1930)に発表されたのがその最初である。そこで初めてオオバナノエンレイソウの染色体数が10本、エンレイソウやミヤマエンレイソウが20本であることが明らかにされた。その後も北大や北大の卒業生を中心とした研究者により、エンレイソウ属を対象とした遺伝学研究が展開され、分類学、生態学、さらに進化学的な研究へと発展している。

植物学名にみる人名

植物の学名はラテン語でできており、多くの場合は形態的特徴や、産地名などから作られているが、時には植物学者の名前が使われている場合もある。ここではスケッチ展示植物の学名に見られる植物学者を紹介した。

シーボルトPh. Fr. von Siebold(1796〜1866)
 日本の植物を研究した外国人としては最も著名であろう。江戸時代に長崎出島にやってきて、日本の植物を研究した。植物学に止まらず動物学、医学にも秀で、著書『日本』はよく知られる。日本人妻との間にできた娘いねは後に日本初の女医になった。本展示ではサクラソウPrimula sieboldiiやオオバオオヤマレンゲMagnolia sieboldii subsp. sieboodiiに見ることができる。長崎にシーボルト記念館がある。

エイサー・グレイAsa Gray (1810〜1888)
 東アジアと北米東部の植物相に共通性があることを提唱した米国の植物学者。宮部金吾はグレイの知遇を得て、ハーバード大学に留学し『千島植物誌』を完成させた。本展示ではサンカヨウDiphylleia grayiに見ることができる。

須川長之助(1841〜1925)
 ロシアの植物学者マキシモヴィッチMaximowiczに依頼され、日本植物を広範に採取して研究を支えた植物コレクター。マキシモヴィッチは須川に感謝し多くの植物学名に「長之助」の名前を付けた。本展示ではミヤマエンレイソウTrillium tschonoskiiがあり、さらにミネカエデAcer tschonoskiiやオオヒョウタンボクLonicera tschonoskiiなどがあり、和名でもチョウノスケソウがある。

宮部金吾(1860〜1951)
 本展示の中では、エンレイソウ属の1種ヒダカエンレイソウTrillium ×miyabeanumに使われている。なお、この学名での×記号は交雑種であることを意味している。宮部金吾は札幌農学校の2期生で、新渡戸稲造や内村鑑三とともに、いわゆる3秀才として知られた。クロビイタヤAcer miyabeiやヒダカソウCallianthemum miyabeanumにも見ることができる。本学附属植物園内には宮部金吾記念館がある。

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