セミナーの概要

北海道大学総合博物館で主催している「博物館セミナー」では、「博物館学」・「博物館に係わる全ての分野」について、いろいろな方に(専門でない方にもわかるように)やさしくお話ししていただいています。


公開シンポジウム「蝦夷からアイヌへ」

  • 第80回総合博物館セミナー
  • 文部科学省科学研究費補助金 特定領域研究(2) (代表者: 前川 要 /中央大学)「中世考古学の総合的研究 - 学融合を目指した新領域創成 -」新領域創成部門「中世日本列島北部からサハリンにおける民族の形成過程の解明 - 市場経済圏拡大の観点から -」(研究代表者: 天野哲也 /北海道大学)
  • 共催: 北海道大学総合博物館,北海道考古学会,青森県考古学会,財団法人 古代学協会
  • 日時: 2004年11月13日(土曜日)-14日(日曜日)
  • 会場: 北海道大学 学術交流会館 第一会議室(一階)
第1日: 11月13日
  • 挨拶: 天野 哲也 (研究代表者 北海道大学)
  • 第I部会: 古代北海道の蝦夷の文化に関する考古学的検討

    パネリスト: 石井 淳平 (厚沢部町教育委員会),田才 雅彦 (北海道教育庁),塚本 浩司 (東京大学大学院),第I部会報告者

    司会: 小野 裕子 (藤女子大学)

    • A検討会: 「北大式土器」の型式論的処理に関する問題 - 土器群の実態をどう捉えるべきか,その方法論的検討 -
      • 09:10-09:50 報告 (大井 晴男 / 北海道大学名誉教授)
      • 09:50-10:30 報告 (小杉 康 / 北海道大学)
      • 10:40-11:50 討論

      概要: 北海道を拠点とする古代の蝦夷の文化の一つとして「北大式土器」を伴う文化を 挙げることができるが,擦文文化への変容のプロセスにおいて「北大式土器」を伴う文化と東北北部に由来する土師器文化との関係の仕方が問題となっている。このプロセスを捉える基礎は土器群の型式論的処理に求められるが,大井晴男氏が提起された「北大式土器」群の変遷に関する新たな捉え方は山内編年に対する方法論的批判に立ったもので,擦文式土器への変容プロセスに対する従来の枠組みに大きな修正を迫るものである。従って,大井氏にはこの新たな見解を報告して頂くとともに,従来の土器型式論に批判を加えておられる小杉康氏に,方法論的な観点から大井の提起を検討して頂き,パネリストも含めた議論を通じて「北大式土器」の型式論的処理に対する適正な方法を探る機会としたい。

    • B検討会: 「擦文文化」と「続縄文文化」の定義に関する問題 - 両文化を分ける基準を何に求めるべきか -
      • 12:50-13:30 報告 (鈴木 信 / 北海道埋蔵文化財センター)
      • 13:30-14:40 討論

      概要: 「続縄文文化」から「擦文文化」への移行は蝦夷の文化的・社会的性格の変遷の上で一つの大きな画期である。この両者の文化的・社会的性格の違いを明確に理解することは,続くアイヌ化の問題を考える際にも重要な意味を持つ。それ故,「続縄文文化」と「擦文文化」の文化的・社会的違いを画する定義とはいかにあるべきかを,現時点までの研究史を踏まえ,鈴木信氏にご報告頂く。

  • 第II部会: 「古代東北北部の律令・郡制下の人々と蝦夷の関わり −文献史学・考古学からの検討 -」

    パネリスト: 豊田 宏良 (千歳市教育委員会),鈴木 信 (北海道埋蔵文化財センター),大井 晴男 (北海道大学名誉教授),熊谷 公男 (東北学院大学),武廣 亮平 (道都大学),第II部会報告者

    • C検討会: 「擦文文化の成立に関わる東北北部地域の様相 - 8世紀代の馬淵川流域の情勢と道央部における土師器集落群の関係 -」

      司会: 仙庭 伸久 (札幌市埋蔵文化財センター)

      • 14:50-15:30 報告 (宇部 則保 / 八戸市教育委員会)
      • 15:30-16:10 報告 (熊田 亮介 / 秋田大学)
      • 16:20-17:30 討論
      • 17:30-17:35 挨拶 (天野哲也 / 北海道大学)

      概要: 石狩苫小牧低地帯の擦文文化の形成に,東北北部の土師器文化の集団が直接関わっていたと指摘されて既に久しいが,候補地である馬淵川流域の土師器文化との具体的な対比は未だ十分行われていない。そこで馬淵川を含む東北北部太平洋岸の遺物・遺構・遺跡群のあり方を宇部則保氏に報告して頂き,道央部のそれらとの対比をパネリストにより行う。また,東北北部から道央部へ土師器集団の移動を引き起こすような事態が,8世紀前後の東北北部に出現していたのか,出現していたとすれば,それはどのような事態で,どれほどの時期にわたり,どれほどの規模の移動が想定できるのかについて熊田亮介氏に報告をして頂き,パネリストを含め討論を行う。

第2日: 11月14日
  • 第II部会: 「古代東北北部の律令・郡制下の人々と蝦夷の関わり> −文献史学・考古学からの検討 -」
    • D検討会: 古代東北北部地域における生産・流通と蝦夷

      司会: 齋藤 淳 (中里町立博物館)

      • 09:00-09:40 古代東北北部地域における鉄器の生産と流通 (報告: 天野 哲也 / 北海道大学
      • 09:40-10:20 高地性防御集落・環壕集落出現の背景と古代東北北部における生産・流通 (報告: 斉藤 利男 / 弘前大学)
      • 10:30-11:10 道内擦文集団と東北北部地域との朝貢・交易を巡る関係 (報告: 瀬川 拓郎 / 旭川市博物館)
      • 11:10-12:10 討論前半
      • 13:10-14:10 討論後半

      概要: 古代東北北部地域の手工業生産・流通と蝦夷社会の関わりをテーマとし,蝦夷にとっての最重要入手品目である鉄器の生産・流通に関する問題を天野哲也氏に報告して頂く。また高地性防御集落・環壕集落の出現の背景と東北北部における生産・流通の展開の関係を斉藤利男氏にご報告頂く。さらに,古代東北北部と北海道を結ぶ流通に関わった道内の擦文集団について瀬川拓郎氏にご報告頂く。

    • E検討会: アイヌ化の開始と東北北部地域 - 古代末から中世にかけての東北北部の情勢とアイヌ化の問題 -

      司会: 澤井 玄 (北海学園大学)

      • 14:10-14:50 報告 (遠藤巌 / 宮城教育大学)
      • 14:50-15:30 報告 (三浦 圭介 / 青森県埋蔵文化財調査センター)
      • 15:40-16:40 討論

      概要: 東北北部における古代末期から中世にかけての社会・政治的動静を文献史学の立場から遠藤巌氏に報告して頂く。また,考古学の立場から,これらの時期における考古遺物・遺構・遺跡の群の状況を三浦圭介氏に報告して頂く。討論では,パネリストに東北北部の考古学的資料の状況と道央部との対比をして頂くと共に,これら考古学側の資料のあり方と文献史学からの成果の突き合わせを行う。

    • F検討会: 蝦夷の歴史的位置づけ - 蝦夷の実態と考古学的な把握との関係 -

      司会: 蓑島 栄紀 (苫小牧駒沢大学)

      • 16:40-17:20 報告 (関口 明 / 札幌国際大学)
      • 17:20-18:20 討論
      • 18:20-18:30 総括 (天野哲也 / 北海道大学)

      概要: 蝦夷の歴史的位置づけはその実態の把握を前提とするが,文献史学の側から明らかにされている蝦夷の実態とその歴史的位置づけについて関口明氏に報告をお願いし,考古学的に捉えられている東北北部の遺物・遺構・遺跡群に見られる型式論的違いが,そうした文献史学の成果とどのように対応しうるのか,文献史学,考古学双方のパネリストにより検討する。