北大総合博物館教育プログラム・「北大総合博物館で学ぼう!―自然と人間」授業報告

1回目 オリエンテーション、北大総合博物館概要、館内見学

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育学)

北大総合博物館の使命と役割、組織、運営、教育活動について、他館との比較もまじえた講義を受けた。北大教育GP「博物館を舞台にした体験型全人教育の推進」の取り組みについての説明も受けた。大学博物館の存在意義について、この15回の実習を通して考えていくことになる。その後、当館で展示解説ボランティアとしても活躍している理学院自然史科学専攻修士2年の石田祐也さんに、3階の常設展示の一部と企画展「アラスカの恐竜」展で展示解説していただいた。展示解説時の留意点だけでなく、研究生活についても語っていただいた。


2回目 海藻食品の正体を調べる1

担当教員:阿部剛史(海藻分類学)

『「海藻サラダ」に入っている海藻の種類を調べてみる』というテーマで活動内容の指示を受けた後にすぐ作業に入った。今回用いられた海藻は昆布やワカメ、もずくなど海藻サラダの中に入っているものであった。湿らせた海藻を段ボールに挟んで一部乾燥させ、残りの部分を色素が出るまですりつぶした。なかなかの大変な作業に皆手こずりながらも、楽しく進めることができた。その後、すりつぶした海藻からアセトンで抽出し、抽出液を試験管に入れ、石油エーテルと塩化ナトリウム水溶液を加え、分離した上層部分を採取して、サンプルとして保存した。次回はこれらの色を見て、先に乾燥させておいたモノと見比べる。比較的に単純な作業が多かったのだが、自分がやったことのある実験に海藻をメインにしたものがなかったので、興味を持つことができ、飽きずにてきぱきと作業ができた。(工学部1年 筒井康平・根本泰明)


3回目 海藻食品の正体を調べる2

担当教員:阿部剛史(海藻分類学)

先週抽出した色素の試料を、薄層クロマトグラフィー法により分離した。試料をシリカゲル板にスポットしたものを、溶媒の入った展開槽に入れた。溶媒の浸透とともに、試料中の色素が分離されていった。シリカゲル板上で、油に溶けやすい色素は有機溶媒とともにするする進み、水に溶けやすい色素は、シリカゲルに吸着されなかなか進まない。各色素が水と油どちらに溶けやすいのか、という違いを用いて分離する方法を学んだ。この実験は、一度行ったことがあり、仕組みや方法を再度学ぶことができ、理解の定着につながった。さらに、分子構造の模型を実際に見ることで、ただ水に溶けやすい、溶けにくい、などと覚えるよりも、実感として理解できた。海藻の種類によって生殖細胞の形が違うこと、乾燥や熱によってクロロフィルが分解されると言ったことなど、知らなかったことも多く興味深い解説をいただいた。また、先週作成した海藻標本が出来上がっていた。標本になると細部などが良くわかり、きれいで、嬉しくなった。結果をもとに判定したり、分からない部分などを考えたりしながらレポートを作成したいと思う。(理学部1年 久保田彩)


4回目 化石の分類と整理

担当教員:小林快次(古生物学)

今回の授業では博物館に展示してあるニッポノサウルス、デスモスチルス、マチカネワニについて説明していただいた。ニッポノサウルスが日本で初めて発見された恐竜であることは知っていたが、デスモスチルスが世界に2体しかない貴重な標本であるということは初めて知って驚きだった。またその復元方法も長尾標本、亀井標本、犬塚標本の3つがあり、それぞれ復元の仕方が大きく違うことが分かった。またニッポノサウルスの繁栄は裸子植物を食べる恐竜が多い中、被子植物をもすりつぶせる歯の構造を持っていることによることが分かった。マチカネワニについてはマチカネワニの化石の背中の噛まれた跡や下あごがないこと、左足の骨折から他のワニとの争いがあったことが推測できることが、すごいことであると思った。博物館の展示をただ見ているだけでは気付かないことや、その化石を通して知ることができることなどを学ぶことができて、本当に良かった。(理学部1年 山本大貴)


5回目 地層と化石から調べる地球の歴史及び地球環境の変遷

担当教員:小林快次(古生物学)

今回の授業では、化石のスケッチの仕方についての説明を一通り受けたあとに、博物館で収蔵している化石やそのレプリカを実際に手にとって見てスケッチをした。化石のスケッチは6方向からのスケッチを行い、万一その化石を見る機会に恵まれることがなくなってもその化石の形態や詳細が分かるぐらいに書き込む。スケッチに用いた化石などは先週の授業で取り上げられたデスモスチルス、ニッポノサウスル、マチカネワニの化石の一部だった。スケッチが終わったら3体の骨格が展示してある展示室へ行き、自分がスケッチしていたのはどの動物のどの部分かを確認した。私がスケッチしていたのはデスモスチルスの肋骨の化石そのものであり、それは樺太敷香町で発掘された世界でたった2体しかない全身骨格の一部だった。この貴重な化石について教えていただいたときの感動は今でも忘れられない。一般の方にとって、博物館がしていることは標本の一部を展示していることにしかみえない。そのような状況で、博物館をフィールドとし、収蔵されている標本を用いた体系的な学習の機会がもてたことを嬉しく思った。(工学部1年 尾崎光政)


6回目 大学博物館の展示と評価

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育学)

今回の授業では、まず最初に、博物館の展示と評価に関する講義を受けた。講義では、展覧会運営の流れや展示評価の重要性・調査方法などを学習した。授業の後半には、展示評価の方法の一つであるトラッキングの実習を行った。トラッキングの実習はでまず二人一組となり、一人が展示を見ている間に、もう一人がその行動を追い、どの展示を見たのか、どのくらい時間をかけて展示を見ているかなどを調査した。展示を見終わってから、展示の感想や観覧者のプロフィールについてインタビューを行った。トラッキングしながら観覧時間を測るのは意外と難しかった。実際の調査では、調査実施の案内は明示した上で来館者に意識されないようにトラッキングすることになり、より難しいだろうと思った。(理学部1年 山口竜馬)


7回目 大学博物館の教育プログラム

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育学)

今回の講義は、前半に湯浅先生から北大博物館において学生がどのような活動をしているかを説明していただいた。学生による展示の制作と解説、来館者調査に基づいた展示評価、デスモスチルスのダンボールクラフトや博物館Tシャツの企画・評価など、博物館の教育プログラムについて興味を持つよい契機となった。その後、4グループに分かれて、前回の授業終了時に提示された課題である「ミュージアムショップで思わず買いたくなるグッズ」について議論した。来店者調査の結果を参考資料としながら、企画を練り、企画書を作成、各々がプレゼンテーションを行った。その中で我々のグループは、「博物館の標本」と理学部出身でノーベル賞を受賞した「鈴木章名誉教授」を紹介するトランプを考案し発表した。今回は、講義の中でミュージアムグッズ企画立案を体験するという趣旨の試みであったが、このような企画・プレゼン体験を通じて、実際に行われているミュージアムグッズを企画する活動に今後は参加してみるのも面白そうであると素直に思えた。学生が博物館活動に参加する教育プログラムと一口に言っても様々なものがある。だが、いずれを選ぼうとも、新鮮な体験が我々を待っているだろう。(文学部1年 石水大喜)


8回目 魚類の分類と進化・多様性1

担当教員:河合俊郎(魚類分類学)

今回の講義では、魚類の形態観察法の基礎を習得するとともに生物学的な観察眼を養うために、魚類の中で最も多様性に富む分類群である条鰭類の種同定、測定を行った。まず初めに、計測の方法(ノギスの使い方など)の説明を受けた。その後、標本を観察し、鰭を構成する骨の数や形、標本の模様や棘の有無などを元に種を同定した。次に、標本の左側の各部位について、ノギスを用いて0.1mmの単位まで測定した。種の同定では、非常に細かい特徴まで観察しなければならなかったので、時間がかかり苦労した。棘条と軟条の硬さが明確に違っていて驚いた。有孔側線鱗数を数えるときに、有孔側線鱗を他の鱗と識別することが難しく、また数えるのも大変だった。標本は乾燥に弱く観察中も適宜水に浸す必要があったので苦労した。僕らの標本は非常に似ていたが、実際に同定すると全く違った種類であることがわかり興味深かった。(水産学部1年 鈴木佑汰・山内泰孝)


9回目 魚類の分類と進化・多様性2

担当教員:河合俊郎(魚類分類学)

前回の続きで、各自の魚の様々な部位の大きさや鰭を構成する骨の数・有孔側線鱗数を測定した。そして、今回から魚体のスケッチが始まった。僕は、今回で魚体の輪郭を描くところまで終えることができた。このスケッチが普通の風景画などと決定的に異なるのは、魚体の細部までノギスで計測し、その点をプロットし、最後にそれらを線で結ぶという描き方(生物学的描写法)をするということである。授業では魚体を使ったが、もっと大きな動物を描くときは非常に大変だと思う。水産学部生である僕は、今回の方法は近い将来使うと思うので、非常に興味深かった。(水産学部1年 池本恵祐)


10回目 魚類の分類と進化・多様性3

担当教員:河合俊郎(魚類分類学)

前回の続きで、魚の大まかな輪郭を描いた。次に、魚の背鰭や尾鰭、胸鰭、腹鰭などの細かな部位を、実際に自分が数えた有孔側線鱗数などを元に各部位の縮尺も考慮して正確にスケッチした。色の濃い部分などは塗りつぶすのではなく、点描で濃淡を表してそれぞれの魚固有の色を表現した。最後にスケッチが完成した後、各部位の名称を、線を引いてそれぞれ記した。また、実際の縮尺がどれくらいのものであるかを表すために、10mmの長さを横に書いた。僕たちは2人ともクロソイを描いたが、鰭を正確に描くことと、色の濃淡を表すための点描はとても苦労した。今回3回にわたって魚類の同定とスケッチを行ったが、僕たちは水産学部生なので将来役に立つ知識を多く得ることができた。また、魚の生物学的描写は正確に描くのが大変だったが、初めての経験だったので非常に面白かった。(水産学部1年 横路直哉・森腰俊一)


11回目 博物館における情報公開・活用の基礎

担当教員:藤田良治(博物館情報科学)

今回の講義は、今までと違い博物館ではなく博物館の近くにある情報基盤センター南館で「博物館における情報公開・活用の基礎」の講義を行った。具体的な内容は、まず日常にある映像処理の例として15秒のCMを1本、30秒のCMを3本見た。最初にスズキアルトの15秒のCMを使い、コマ数 やCMに内在する物語や製作者側の意図などの説明があり、普通に見ていたら考えないようなCMの見方について学んだ。その次に、Windowsに 付属するムービーメーカーというソフトを使って、実際に映像処理を行った。藤田先生が用意していた練習教材が保存できないというトラブルがあったが、 代わりの教材が準備されたので無事講義が進んだ。分割やアニーメーション効果など映像処理の基礎を学び、そのあと自由に映像処理を行い練習した。 年内に、博物館に関する映像や写真を撮り、1月4日までにテーマ「博物館」で1分以内の映像を作るという課題が出された。今回はとても大変な課題が出たので、冬休みを挟んでよかったと思った。次回1月6日の授業では、全員が制作した映像作品を発表しお互いに評価する。(工学部1年 前田充登・栗山泰輔)


12回目 マルチメディア実践

担当教員:藤田良治(博物館情報科学)

今回は、2011年最初の授業であった。前回の授業で説明をうけたwindowsムービーメーカーを使って作成した博物館に関する1分以内の動 画を、プロジェクター投影で発表した。映像作品は自分で撮影してきた画像や動画やBGM等を用いて制作した。各自の個性が出ており非常に興味深 かった。発表では、再生する前にまず自分の動画の注目してもらいたいところを述べ、その後その動画を再生、藤田先生からのコメントと質問をいただ き、他の学生からの意見を聞いた。発表者以外の学生は面白さやテンポなどに関して5点満点でそれぞれの作品を評価した。最後は各自が最もよかった と思った作品を選び、約20名から得票数の多い上位6作品の制作者に、博物館限定バッチが与えられた。藤田先生からのコメントは面白くまた為にな るものであった。この授業を通じて、普段何気なく見ているCMやTVの質の高さに正直驚いた。(水産学部1年 日下哲佑・上戸利浩)


13回目 岩石の分類と成員

担当教員:松枝大治(鉱物・鉱床学)

今回の講義は、岩石の分類と成因というタイトルで鉱物についてその定義や種類などについて学んだ。まず「鉱物と岩石の違いとは何か」や「知っている鉱物や岩石の名前を書け」などのアンケートに答えた。その後さまざまな鉱物の標本がまわされ、とても面白かった。個人的によかったと思ったことは、普段、曖昧になっている鉱物と岩石の違いが明確になったというところだ。また、最硬度の物質であるダイヤモンドがどのようにカットされているかなど面白かった。講義中に見ることのできた鉱物の標本は、鉄や銅から各種宝石、たとえばアメジストやダイヤモンド、ルビーやサファイアなど。また人工的に作られた高純度のケイ酸(水晶)などで、改めて北大総合博物館の学術資料の多さを実感した。次回は鉱物の命名などの講義を受ける。(水産学部1年 狩野栄詩)


14回目 鉱物の分類と命名

担当教員:松枝大治(鉱物・鉱床学)

今回の授業は、岩石と鉱物の2回目の授業ということで、最初にまたアンケートを取った。内容は、国歌の君が代についてのものだった。さらに、授業は続き、岩石の種類と特徴や火成岩の分類、組成、マグマのふるさとであるマントルについてやプレートテクトニクスとプレームテクトニクスの講義もあった。また、黒曜石についての話があり、黒曜石はヨーロッパでは「幸運を呼ぶ石」と呼ばれていることを知った。さらに、映画「ハリーポッターと賢者の石」に登場する賢者の石は黒曜石であるということも知った。 このように松枝先生の講義では、岩石や鉱物の話だけでなく私たち大学生に身近な話もあるので授業にすんなりと入っていける。最初にアンケートを取った君が代の話を最後のほうにしてもらった。最初にアンケート取った時は全くアンケートをする意味が分からなかったが、君が代は実は地質学の歌という話を聞いた時、新たな視点にとても興味をもった。さらに、北海道形成の謎という話もしてもらい、それについても身近なものなので興味をもった。このように身近なものや新たな視点でものがみられるので次回の授業もとても楽しみにしている。(工学部1年 若海貴文)

前回の岩石と鉱物についての授業に引き続き、今回は、鉱物の成因から系統分類をどのように行うか、という内容であった。堆積岩、火成岩、変成岩について標本を見ながらその特徴を理解した。たとえば火成岩の分類は、結晶の出来方から火山岩と深成岩に分けられて、さらに二酸化ケイ素濃度(≒色指数)により数種類に分けられる。普段聞きなれた、玄武岩や花崗岩もあったが、それぞれ並べて見ると黒白の違いが明らかで、結晶構造の違いも観察できた。またシリカ度の違いで、どのような自然現象の相違が生じるかということも学んだ。シリカ度の大きな島弧上の火山は、爆発的な噴火で大規模な災害を引き起こすが、対照的に、ハワイ島のホットスポットや、海嶺上のアイスランドのような場所の火山は、噴火したとしてもそれほど激しい活動ではないので被害が少ない。これは二酸化ケイ素の粘性が主に爆発性を決めていることからなる。また、変成岩については、化学組成が同じでも色や結晶構造が違う物質(多形)の標本を見た。特に藍晶岩系統の多形は違いが明らかで驚いた。これは変成作用の受け方の違いにより、温度と圧力の兼ね合いで生じるものであると習った。 このように、鉱物は身近な存在だが、普段あまり詳しく標本などを見る機会がない人にとって、とても良い経験となった。実物を手に取り、観察し、比較するということに、学問への興味をそそる大きな効果があると感じられた。(水産学部1年 小原章裕)


15回目 有用鉱物の産状と形成過程

担当教員:松枝大治(鉱物・鉱床学)

最後の授業である今回は隕石とレアメタルを中心としたものであった。隕石については分類、科学史、恐竜絶滅などの解説に加えて、クラーク博士が鉱物学者であったことや中谷宇吉朗の「雪は天から送られた手紙である」にかけて「隕石は宇宙からの手紙」であると説明されていたことが印象に残った。レアメタルにおいても形成過程や利用のみならず、現在では閉山されているものの札幌に鉱山があることや国家に出てくる「細石」についてなど幅広く学ぶことができた。今回の授業でも北海道で唯一の隕石など貴重な標本を手にとって見ることができただけでなく、恐竜、水資源や人口問題など多様なテーマにわたる話を聞くことができたのも様々な分野を網羅する大学博物館らしいと感じた。(経済学部1年 清野紘基)



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