北大総合博物館教育プログラム・「北大総合博物館で学ぼう!―自然と人間」授業報告

1回目 オリエンテーション、北大総合博物館概要、館内見学

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育)

北大総合博物館の使命と役割、組織、運営、教育活動について、他館との比較もまじえた講義を受けた。北大教育GP「博物館を舞台にした体験型全人教育の推進」の取り組みについての説明も受けた。大学博物館の存在意義について、この15回の実習を通して考えていくことになる。その後、当館で展示解説ボランティアとしても活躍している理学院自然史科学専攻修士2年の千葉謙太郎さんと同専攻修士1年の石田祐也さんに、3階のアークアイランドと化石の展示室で展示解説していただいた。展示解説時の留意点だけでなく、お二人の研究生活についても詳しく語っていただいた。


2回目 化石の分類と整理

担当教員:小林快次(古生物)

前回のオリエンテーションを経て、今回から本格的な授業に入った。最初に総合博物館で展示されているデスモスチルス、ニッポノサウルス、マチカネワニの3体についての説明を受けた。デスモスチルスは骨格の復元する形状が複数あり、総合博物館ではその中でも亀井先生の提案した形で展示されている。ニッポノサウルスが属するハドロサウルス科は恐竜の中でも進化した種で、口の中で食物を噛み砕く構造を持っていた。また、ハドロサウルス科が登場した頃同時に被子植物が繁栄を始めたとのことだった。この辺りの関連性がとても興味深いと思った。マチカネワニは今と大差の無い気候の日本で生息していたと聞いて驚いた。古い時代のワニからワニの進化と生息する環境毎の体の構成の違いなどが興味深かった。私は以前にも数回これ等が展示されている展示室に入った事はあったが、今回の説明を受けた後ではまた違った感覚で見ることが出来た。(理学部1年 高崎竜司)

 第2回目の古生物学の授業では、博物館に展示してあるデスモスチルス、ニッポノサウルス、マチカネワニ(トヨタマフィメイア)の3体について説明をしていただいた。デスモスチルスの成体の全身骨格は、北大総合博物館が所有しているものが唯一であり、その復元のモデルは4タイプあるということを知った。ニッポノサウルスの仲間は、当時の生態系の中で、最も植物を食べるのに適した顎の作りをしていたのにもかかわらず、絶滅してしまったというのに進化の奥深さを感じた。また、マチカネワニが生息していた40万年前の気候は現在とほとんど変わっていないと知り、もしもマチカネワニが絶滅していなければ現在の日本でも6mのワニが生息していてもおかしくないというのは驚きだった。(理学部1年 松野孝則)


3回目 地層と化石から調べる地球の歴史及び地球環境の変遷

担当教員:小林快次(古生物)

第3回の授業では、はじめに博物館の主たる4つの活動「研究」「標本」「展示」「普及」の概要を聞いてから、小林先生の研究内容を紹介していただいた。化石の発掘にはただ作業をするだけではなく、大変な苦労を伴う作業であることを学んだ。特にモンゴルやアラスカでは命懸けで過酷な発掘作業をしたという先生のお話を聞いて非常に驚いた。また、博物館におけるアンケート調査の結果やそれから読み取れることなどを説明していただいた。そういったものも参考にしつつ展示活動を改善していく博物館の活動に興味を持つこともできた。授業の最後のほうでは現在の他の博物館の問題点や大学博物館の在り方をわかりやすく講義していただいた。現在の他の博物館が学問的視点よりも入館者数や歳入・メディアで評価されがちであり、そのためにはアミューズメントパークのような娯楽的視点を重要視し始めたところもある現状を知り、複雑な気持ちになった。博物館でただの「楽しかったね」という感想ではない学問的な感動を味わったことは誰でもあるはずであり、自分もそうであったと思う。それだけに博物館の学問的姿勢が損なわれるとしたら残念でならない。そのようなことを考える非常に有意義な時間であった。(理学部1年 園部英俊)


4回目 海藻食品の正体を調べる1

担当教員:阿部剛史(海藻)

今回のテーマは『海藻サラダに含まれる海藻の同定』ということで、その下準備をおこなった。主な活動としてはまず海藻標本作製、つぎに標本にしたものと同じ海藻の光合成色素の抽出だった。詳しい説明は次回に行われる。
文系の僕にとって理科の実験など一年ぶりぐらいのことで、わかりやすい説明の上、安全な実験ならではの(?)ワクワク感を久しぶりに感じられた。僕の実験がうまくいったかは・・・次回に分かることだろう。
この授業に限らず僕が北大に入ってから思うことは、文系でも理系の興味あることに積極的に参加できることの素晴らしさである。とくに僕のような文学部の人間でも理系の授業が全学部対象に多く開講されているため、自分の興味に沿って様々な教養をみにつけることができるし、いかにも理系といった小難しい理論や計算も少なくなじみやすい。
その中でも、とりわけこの授業は自分の手を使って実験したり、頭を使って考えることが多い授業なので、楽しみながら多くの知識を身につけられるものだと思う。また博物館とは何か、その存在意義や経営など、理系にとどまらず広く文系の内容も統合されて、この後の授業も楽しみでたまらない。(文学部1年 齊藤遼)

 第4回の授業では、海藻から色素を抽出する実験と標本を作る実験をした。海藻にどのような色素が含まれているかを比べることによって、見た目だけで判断するよりも厳密に海藻の種類を見分けることができる。実験には食用として市販されている海藻サラダに入っている海藻を用いた。もともとこの授業で取り扱うのは海藻だが、先生が北大のキャンパスで拾ってきた紅葉の落ち葉についても調べた。まず試料にシリカゲルを混ぜたものを乳鉢で粉末になるまですりつぶし、更にアセトンを加えることで、色素を溶かし出す。残り滓を取り除いたら更に石油エーテルと食塩水を加える。すると液が2つの層に分かれる。この2つの層のうち上の層だけを取り出せば、色素のみの含まれたきれいな色をした液が得られる。上の層は石油エーテルの層で、下の層は食塩水とアセトンの混合物になっている。植物の光合成色素が水に溶けにくく油に溶けやすいという性質を利用している。次回の授業では、抽出した色素を分離し(一つの植物に含まれている色素は一種類ではなく、数種類が混ざっている)、含まれている色素を調べる。(工学部1年 木村勇登)


5回目 海藻食品の正体を調べる2

担当教員:阿部剛史(海藻)

前回に引き続き、今回は薄層クロマトグラフィー法を使って光合成色素の分離や同定を行った。作業内容はとても単純で、前回できた抽出液をシリカゲルプラスチックシートに滴下して、それを展開液が入ったガラス槽に入れるだけだった。そのうえ、この実験は前期に授業で一回やったことのある実験だから、僕にとってとても楽だったかもしれない。
時間がたくさん余ったおかげで、阿部先生からたくさん海藻の話を聞くこともできた。緑藻、紅藻、褐藻が持つ光合成色素の違いや生殖細胞の鞭毛の違い、葉緑体の一次共生や二次共生、薄層クロマトグラフィー法の原理である毛細管現象、シリカゲルシートを使って色素を分離する方法など、理系の僕にとって面白い話ばかりだった。
今回の授業も気持ちよく終われると思ったが、最後の実験結果は予想と大きく違って、色素が分解されて黒くなったり、何の結果も残さずに真っ白になったりする試料もあって、どうしたのだろうと悩んだ。このとき、先生が「実験の結果より、その結果について真剣に考えることが大事だ」と教えてくれた。その原因を調べ、レポートをまとめられるように頑張りたいと思う。(理学部1年 陳明皓)


6回目 大学博物館の展示と評価

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育学)

今回の授業では、総合博物館で行われている展示評価についての講義を受けた後、博物館の来館者がどのように展示を見ているかを調べ、展示の意図が正しく伝わっているのかを評価するために、トラッキングという手法を用いた実習に取り組んだ。実習では二人一組になり、一人は自由に展示を見て回る。もう一人は相手の行動を観察して調査票に記入する。相手が展示を見終わったら展示の内容と方法などについてインタビューを行った。実習を通じて、展示でメッセージを伝えることの難しさ、トラッキングやインタビューの方法など様々なことを学ぶことができた。なんとなく展示を見て回った自分は展示のテーマを聞いて初めて、そういうテーマであったのかと知ったくらいであった。ただなんとなく展示を見ている人は少なくないのではないかと思う。そういった人たちにわかりやすくテーマを伝えることはとても難しいことだと感じた。(工学部1年 高橋優紀)


7回目 大学博物館の教育プログラム

担当教員:湯浅万紀子(博物館教育学)

今回の講義ではまず、博物館のリソースを活かした学生教育などの「大学博物館における教育」について学んだ。また、ミュージアム・マイスター制度に関するお話等も聞くことができた。その他にも前期の授業やゼミ、ボランティア活動等の紹介もあった。展示解説に関する講義として、展示解説では解説内容の真正性やコミュニケーション・スキルが必要であること、質問対応する際には公的見解/私見の区別をしなければならないこと、自分が解説員であるのと同時にレセプショニストであると意識する必要があることなどを学んだ。最後に2人1組になって疋田豊治先生の写真展での模擬解説を行った。模擬解説では解説員になりきって1つの写真について自分なりに解説し、パートナーからの質問に受け答えするというものであった。(工学部1年 奥住慶介)

 今回の講義では、大学博物館が担っている役割のうち、教育という分野を学んだ。私にとってとても印象に残っているのは、北大の学生によって企画され運営された様々なプロジェクトの話である。中でもとりわけ面白いと思ったのが、「ヒストリカル・カフェ」の企画だ。人々のコミュニケーションの場を作り、かつ博物館との関連性を重要視するというところに非常に興味を持った。また「化石としての時刻表」という、一見博物館との関連がないように思える企画も、時刻表からは今はない様々な文化の足跡をたどることができるというお話を聞き、とても面白いと思った。授業の後半では、現在北大総合博物館で行われている疋田豊冶写真展の解説の実演を行った。2人ペアになって博物館のスタッフになりきって即席の展示解説を行うというものであったが、展示解説というものがいかに難しく訓練が必要なものであるかということを学んだ。(文学部1年 伊藤芽生)


8回目 魚類の分類と進化・多様性 1

担当教員:河合俊郎(魚類)

今回は「魚類の分類」ということで実際の魚を利用して授業が展開した。普段、釣りが趣味な私は、魚の分類といえば季節と釣れた場所、外見上の特徴などで大まかに行っていたが、今日の授業を通して、学問的にどのように分類すればよいかを聞くことができ、なるほどと感心するところが多かった。また本物の魚を使い実習できることが、博物館の実習ならではだと思った。この授業の他の回にも言えることだが、実物ないしレプリカがそこにあるから、より深い理解ができているのだと思う。またただものを見るだけでなく、自分で手を使い、習った後に自分で考える課題が多いのも、ただ理解が深まるということに以上に、考えるのが楽しく、じっくりと思考をめぐらしている気がする。
 今回のテーマは三回連続なものなので、自分がした分類は正しいのか次回以降が楽しみであり、実際の魚を使ってどのように考えさせられる授業が展開されるのかワクワクする。(文学部1年齊藤遼)


9回目 魚類の分類と進化・多様性 2

担当教員:河合俊郎(魚類分類学)

前回の授業では各自選んだ魚についての観察からデータを集め分類を行ったが、今回はいよいよ魚のスケッチに取り組み始めた。通常のスケッチとは違い、魚の大きさを正確に点でプロットした上でスケッチしていった。このような方法はやはり時間が膨大にかかる上に多大な集中力が必要であり、とても疲れたが、正確な大きさを描くことができた。まだ途中ではあるが、スケッチだけでその魚が持つ個々の特徴を誰が見ても伝わるように表現するのはとても難しいということが分かった。(工学部1年 横堀野原)


10回目 魚類の分類と進化・多様性 3

担当教員:河合俊郎(魚類分類学)

3回目となる「魚の分類」 では、初回の測定、2回目の種の同定を終え、各標本の生物学的描写(スケッチ)を行った。今回のスケッチでは図の全長があらかじめ決められており、それに合わせて縮尺を設定した。体の模様や陰影をつける時は、点の集まりの粗密の差を利用して表現する点描法という方法をとるため、簡単な濃淡ですら大変根気のいる作業であった。絵があまり得意でないので、当初本当にできるのだろうかと心配していたのだが、残念ながら細部までは時間の関係上間に合わなかったものの、輪郭などしっかりと形ができており、プロットを用いた描写法の有効性を理解できた。(水産学部1年 伊藤啓仁・岩井卓也)


11回目 岩石の分類と成因

担当教員:松枝大治(鉱物)

今回の講義では鉱物について楽しく学んだ。鉱物と宝石の違いって何なんだろう・・・?今まで感じなかったが、言われてみればよく分からない事。先生が分かりやすく、面白く説明して下さった。また、講義中に鉱物を手にとって観察。「トパーズに光を当てたら光の線ができるって本当だったんだ!」、「ダイヤモンドの削り方は理にかなった削り方なんだ!」「石英って時計に使われているんだ!」様々な発見と感動があった今回の講義。地学を履修してない自分でも鉱物に対してとても興味がわいた。次回の講義が非常に楽しみである。(工学部1年末廣真道)


12回目 鉱物の分類と命名

担当教員:松枝大治(鉱物)

岩石と鉱物についての講義の2回目となる今回は、鉱物と岩石の違いについて学んだ。自分は前回までよく分かっていなかったが、岩石は化学的に均一ではなくて、鉱物はほぼ均一であるということを学び、さらに今回はその鉱物についての分類と命名について学んだ。鉱物の分類は漠然とした外見ではなく、細かい結晶を観察することによって分けられることを知った。前回と同様に、今回も松枝先生が用意して下さったいろいろな鉱物を実際に手にとって観察することができた。自分が知っているものから知らないものまで数多くの鉱物にふれることができてよかった。次回は有用鉱物の産状と形成過程ということで、今回学んだことをさらに深めることができるであろうから、とても楽しみである。(工学部1年 関口弘大)

 前回に引き続き、岩石について学んだ。岩石というと「ゴツゴツとした石」というイメージが浮かぶが、実際には様々な成因があり、表面が滑らかなものも存在すると教わった。その例が黒曜石で、貝殻状をしており、表面は黒くテカテカとしていて非常に興味深い石であった。その他にも松枝先生が用意してくださった石に触れることができ、良い経験をすることができた。石が好きな自分にとって松枝先生の講義は毎回楽しみにしており、次回が最後ではあるが、また新たなことを学びたいと思う。(理学部1年 平塚倖太)


13回目 有用鉱物の産状と形成過程

担当教員:松枝大治(鉱物)

岩石と鉱物の授業も今回で3回目、隕石とレアメタルについて学んだ。なるほど、言われてみれば隕石も岩石・鉱物の一種である。今までの2回の授業と同様に、今回も実物を見て触れさせてもらえることができた。まさか隕石まで見て触ることができるとは思ってなかっただけに大変うれしかった。こういうことは博物館の授業ならではだと思う。非常に貴重な体験をすることができた。内容もただ成因などについてだけではなく、隕石では恐竜絶滅の話、レアメタルでは国際情勢についてまでととても面白い話が聞くことができた。3回の授業を通して受けてよかったと思えるいい授業だったと思う。(水産学部1年 浅野芳治)

 今回の講義では、隕石について科学的に学んだ。隕石とは地球外天体の岩石のことで、大部分は小惑星帯から地球に飛んでくる。地球がまだできたばかりの頃から、隕石は幾度となく地球に衝突してきた。カナダのケベック州には500万年以上も前の隕石によってできた、ニューケベック・クレーターが今でも残っている。一回行ってみてその大きさを実際に見てみたいと思った。また、隕石の大きさは様々である。かつて地球に衝突した、恐竜を絶滅させた原因と考えられている隕石は直径10キロメートルもあったらしい。この様な巨大隕石は近年も地球付近を通過していて、いつ地球に衝突してもおかしくないという。この様な事態に適切な対策をとる為にも、隕石に研究は重要だと思う。隕石は宇宙を探る非常に重要な手掛かりで、自分ももっと深く知りたいと思った。(工学部1年 松浦裕馬)


14回目 ITを活用した効果的な展示

担当教員:小俣友輝(情報)

 今週の授業では博物館の情報発信について学んだ。IT手法を活用した効果的な展  示の話を聞いたが、IT手法を用いた展示にはメリットやデメリットがあると知った。メリットとしては伝えられる情報量が文書に比べ圧倒的に多いことだ。そして視覚や聴覚 に訴える展示様式をとることができ、来館者の興味も惹くことができる。一方デメリット としてはある程度の技術や費用が必要になることだ。このようにIT手法を用いた展示 には良い面と悪い面があり、状況に応じて使い分けていくことが大切だと知った。
また今週と来週の授業の時間を使って、実際に自分たちで博物館紹介の映像を制作していくことになった。今回の授業では映像制作にあたってのテーマや役割分担、構成を話し合って決定した。来週はいよいよ最終授業である。メンバーと協力しながらより良い映像を完成させて最後の授業を締めくくれたらよいと思う。(工学部1年 高崎雄也)


15回目 IT手法を活用した情報公開

担当教員:小俣友輝(情報)

 今回の授業では博物館を紹介する動画を作った。動画の作成にはWindowsのパソコンには必ず入っている動画作成ソフトである「Windowsムービーメーカー」というソフトを使った。必ず入っているとはいえ、動画の作成は初めてで、このソフトを使用するのもやはり初めてなので最初は戸惑ったが、使ってみるとシンプルで使いやすかった。いくらかトラブルがあり、予定していた通りのものは作れなかったが、ある程度形になった作品を完成させることができた。最近は「You Tube」や「ニコニコ動画」など自主製作した動画を広く公開 するウェブサイトがあり、私自身いずれは動画を投稿してみようと思っていたので、今回の授業で学んだことは大変役に立った。(工学部1年 木村雄登)


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